週刊いぶき

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2026/1/26

突然の衆議院解散・総選挙で議員は選挙区に戻り、永田町は閑散としています。通常国会冒頭解散は過去にも例はありますが、衆参両院で与党が過半数割れ等不安定な政情での解散は初めてで、高市自民党は多党化による不安定な現状打開という難しい賭けに出たと言えます。通常国会は4月から始まる新年度予算案・予算関連法案をまず審議するのが通例で、選挙の為に審議は大幅に遅れるので、地方自治体への予算配分・高校無償化・所謂178万円の壁の所得減税の実施等が遅れ、有権者の判断が注目です。安定多数による着実な政策遂行か、国民の価値観多様化を反映した安定過半数なき連立の継続か。

メディアは①高市総理の解散表明はいつか、②選挙は内閣でなく政党で闘うのに、自民党幹部に高市総裁から相談・連絡がなかった、③野党は国民生活、物価高対策置き去り解散と批判等々と報道。これ等は総選挙の帰趨を占う大切な点ですが、各メディアには、憲法の法理から衆議院解散の意味、解散理由が党利党略でなく正統と認められるか等についての社説・論説が少ないのは、社会の木鐸として物足りない印象です。議院内閣制の憲法下で、党首として総選挙を経験していない高市さんが、「私で良いのですか」と主権者に問うのは、解散のタイミングはともかく、憲法上の唯一の正当な解散理由かと考えます。

憲法は国の事ごとを決める「主権」を国民に賦与し、国民の権力はその代表者が行使するとして、国会を国権の最高機関としています。国会は総理大臣を指名し、内閣に行政権を委ねます。国会と内閣の意見が違った場合(69条の内閣不信任)、主権者の意思を伺う解散・総選挙が明記されています。一方、憲法7条の天皇の国事行為として、「内閣の助言と承認により、国会を解散すること」があります。憲法7条が解散の手続きを記したのか、内閣の権限を記したのかは、国会の権威、三権分立の意義・党利私略解散の阻止の点から永年論争の的でした。ただ事実の積み重ねとして7条解散が定着しており、党利私略の解散権行使を我慢するのは内閣の良識に懸かっていると言えます。

各大臣が「解散は総理の専権事項」と答えるのも憲法知らずで、憲法7条は「総理大臣の」ではなく、「内閣の助言と承認により」と記しています。模範応答は「内閣の助言云々なので、国務大臣として責任を逃れるものではありませんが、任命権者の総理の意向に従うつもりです」でしょう。高市さんには解散について、閣僚は勿論、選挙の実務を担う党幹部と充分な意思疎通のうえ、主権者の理解と協力への努力を重ね、強い経済の再生を期待します。