予算が成立したので、社会保障国民会議で議論されている消費税減税について考えましょう。総選挙で多くの党が、①全廃②時限的③食料品に限定の違いはあれど消費税減税を公約。選挙に圧勝、行政権を担う与党・自民党は、公約実現の義務を負います。公約は「社会保障国民会議で食料品消費税引き下げの検討を加速」です。引下げは検討の結果次第ということでしょうか。
日本は議院内閣制の国なので、「私か野田さんのどちらを選ぶか」でなく、法的には政党選択の選挙です。過半数を得た政党党首が、国民主権を預る国会の指名で行政権を付託され、総理大臣となります。公約は政党が行い、総理大臣は党代表として選挙を闘うのです。しかし「総理大臣としては年度内に法整備」、「食料品非課税は私の悲願」、「国民会議の議論を加速し、6月にも結論」等々の総理の発言は政治的には極めて重いものです。
国民民主党の玉木さんから消費減税消極発言があり、学者・経営者・団体代表者の多くも反対、メディアにもここにきて消極的論調が目立ちます。①社会保障給付の財源なので安定的代替財源が必要。②①が不明確だと国債増発・長期金利上昇・円安・輸入物価高騰・消費者物価上昇になる。③レジ改修に経費や時間がかかる。④課税対象の外食産業の経営を圧迫する等々です。
私はそれ以上に、国民の期待どおり食料品価格が8%下がるのか、仮に国民の期待を裏切る事態が生じると、来春の地方統一選挙、2年後の参議院選挙での悪影響が心配です。消費税は取引各段階での付加価値が課税対象で、仕入れの消費税分を次の段階の業者に転嫁・回収し、最終消費者がそれを最後に負担する仕組の税です。食料品を「免税」にした場合、各段階の納税者は証明書により1年後に申告して負担消費税分の還付を受けられますが、「非課税」にした場合はこの仕組みは機能しません。①「免税」の仕組みでは業者間の力関係でこの仕組みが機能しない可能性(転嫁拒否・伝票不交付)があり、②「非課税」の場合は最終販売者は消費者に転嫁できないので、消費税は非課税でも販売価格が高止まりする可能性が大きいのです。
私は物価対策は減税や現金給付等の一時しのぎの対症療法でなく、労働生産性向上による強い経済の再生、賃上げ、円安解消等の根本治療が必要との立場です。民主制の下での各野党の選挙公約、総理としての高市さんの発言の重さから、減税の取りやめは難しいでしょう。となると食料品価格低減の期待を国民が実感できぬ場合、代替案の議論をしておく必要がありそうです。