先週は第二次大戦後の国連中心の国際法遵守の協調体制、IMFとGATTによる自由貿易体制が、その要であった米国により逆に崩壊を始めていると述べました。そのことは第二次世界大戦前への先祖返りに思えます。軍事力による目的追求は、ロシアのウクライナ侵攻、中国の海洋進出、米・イスラエルとイランの戦闘等々。そこに至る理由は各々でしょうが、話合いより力の解決は歴史のページのめくり直しの気がします。
欧米列強のアジア・アフリカ・中東の植民地化、米国の中米・フィリピン等の植民地化、日本による満州帝国建国、第二次大戦の引き金となったナチスドイツのチェコとポーランドへの武力侵攻。これ等の植民地や経済利権確保の動きは、自国第一の重商主義的利益独占地域の拡大にありました。遅れて競争に参入した日本やドイツでは、国家統制・介入による産業競争力強化が顕著でした。計画・統制による満州国の産業育成・経済体制を主導した革新官僚・岸信介(後の首相)は、「ドイツの産業合理化案こそが、日本の行く道だと思った」と後々回想しています(岸信介証言録・毎日新聞刊)。
現在の自国第一主義の流れのなかで、財政を使い国家が主体的に経済競争力を強化する姿勢が「保守」との風潮がありますが、眞の「保守とは何か」の検証が必要と考えてしまいます。「保守」の理論的支柱でノーベル賞受賞者ハイエクは、自由と民主制の価値を説き、その欠点もまた熟知した碩学です。自由な発想・競争の下でこそ社会は発展し、独裁や統制・権力を持つものの思い込み、判断ミスは、誤った時の損失が大きいので、多数が意思決定に参加する民主制・市場経済の価値を擁護します。競争や民主制の欠点を補うものとしてハイエクは、「自生的秩序」つまり保守が大切にする「伝統的規範・法律を超える暗黙の約束・理性」の大切さを説きます。
「保守」は民主制・自由が前提の価値観・思想で、排他的自国第一主義や国家介入等とは異なるものです。保守と言われたレーガン元米大統領、高市さんが理想とするサッチャー元英首相は、市場経済の有効性と民間の力に信を置き、自国経済強化の為には、民間投資を引き出す条件作り、経営の意思決定者や働く者、即ち国民の協力と経済力強化への貢献・覚醒を呼びかけました。
来週は5連休なのでお休みとし、11日からご一緒に学ばせて頂きます。私も久しぶりにテニスコートで一汗かき、手料理を楽しみ、英気を養いたいと思います。皆さんにとって楽しい連休でありますように。
週刊いぶき