円安による物価高騰に加え、米・イスラエルとイランの戦闘による原油高が世界経済の混乱に追い打ちをかけています。国際通貨・ドルと各国通貨の交換比率(為替レート)は為替市場の需給で決まります。貿易や資本取引に必要な通貨の実需以外に、先行きへの思惑でドルの見込み買い(円安)や逆の動きがあって、為替市場は実需を離れても動きます。例えば㋑日本経済の先行き見込み。㋺財政の悪化(国債増発による長期金利上昇)の影響等への思惑です。このような投機的な円売りドル買いに対し、通貨当局(政府・日銀)が対抗的に円買いを行い、市場に介入し1ドル155円になったと報道が。
通貨当局が円の売り手・買い手となり市場に介入し、為替レートを操作することを市場介入と言います。政府は貿易や金融取引等の支払いに対応する為、外国為替管理特別会計を設け、円を支払いドルを買い入れ、外貨を支払い円を回収します。国際収支が黒字なら、外為会計には外貨(ドル)が積み上がります。「外為会計の余剰金を財源に」との主張がありますが、外為会計の自由になる余剰金は外貨準備の運用益のみで、これは毎年度一般会計の歳入になっています。円高の時に積み上がった外貨準備の円安時の円表示の含み益は、米国債になっている資産の売却によって実現します。米国債の値崩れとなる売却は対米関係から難しく、単純に「円安で外為特会はウハウハ」とはいきません。
円安による物価高を抑える為替介入は、一時しのぎの熱冷まし、投機的円売りへの警告以上の意味を持ちません。大切なのは円安の根本治療です。では円ドルレートは何で決まるかです。1番大切なのは①日本経済の生産性・日米経済の実力の先行きです。そのうえで②円とドルの購買力の比較、③日本の国際収支の状況(支払通貨の需要)、④円かドル保有で得られる利益(公定歩合の比較)、⑤国の債務残高(国債発行残高)、そして⑥流通円の総量です。
②について経済誌エコノミストが、マクドナルドのハンバーガーセットの各国での購入金額比較をしています。日本は1000円、米国は20ドル(3000円)ですから、購買力なら1ドル50円。③は日本は黒字、米国は赤字。問題は④と⑤と⑥です。④と⑥は公定歩合を引上げ、金融の正常化が急がされます。⑤は大量の国債残高を抱えているので、「真に責任にある」積極財政による財政規律が望まれます。日本が外交交渉力として強い経済、1ドル100円の日本経済を再生するには、資源小国を克服する積極的な国内戦略的設備投資と勤勉な労働力の覚醒による労働生産性の再生、即ち経営者と国民の覚醒が鍵なのです。
12日にBSフジ・プライムニュースに出演します。
週刊いぶき