国会と内閣の関係で最近気になったことがあります。メディアの見出しに、「高市総理定数削減は全て比例でと鈴木幹事長に指示」とあること。2つ目は、6月5日成立の令和8年度補正予算のほぼ全額が、一般予備費と中東情勢等対応予備費ということ。
日本は憲法により議院内閣制を採っており、与党党首は政党代表と内閣総理大臣の2つの立場を持ちます。この2つを心して自覚・分離して行動せねばなりません。国会の質疑で、「総理大臣としてこの場にいるので自民党総裁としての答弁は控えます」と便宜的に使うだけでなく、行政権の責任者の立場の則りを超えてはならず、会派・政党への関与は政党代表としてのみ行うのです。国会議員定数や選挙制度は三権分立の法理から、国会が議論決定すべきことで、高市さんも最大会派・自民党総裁として指示することは当然ですが、内閣総理大臣としての指示は則りを超えています。鈴木幹事長が「総裁」としての指示を「総理」と発言したのか、高市さんが総理官邸で「総理」として指示したのか。政治家にとって憲法の法理は一番の拠りどころなのでは。
次は補正予算3兆1千円のうち、重点支援地方交付金(1千億円)以外の3兆円全てが予備費ということです。憲法81条は、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け」と記し、国会の歳出事前議決の例外を設けています。事後の国会承認は必要ですが、予備費は内閣の裁量で使える例外的予算です。この予備費の多くは、与野党内やメディアではガソリン・軽油価格補助に使われるのは既定の事実とされています。一方、世界一安い日本のガソリン価格を考えれば、節約要請や補助不要論もあり、議論を避けた国会軽視の予備費とも映ります。
補正予算の財源は全額赤字国債ですが、「前年度税収が見積もりより多いので、令和7年度決算で国債発行予定額を3兆円以上減らせるため財政規律にも配慮している」との答弁が繰り返されていました。しかし国会が議決した財政法6条は「決算剰余金の2分の1を下回らぬ額を公債の償還財源に充てねばならない」としています。補正予算とは関係なく、毎年度決算では税収の結果増分はまず国債発行額減額に充てられ、残余は財政法に従って国債整理資金特別会計に繰り入れられます。補正財源の赤字国債はやはり純増なのです。マーケットはそれが分かっているので、円レートは160円に張り付いていますね。
週刊いぶき