週刊いぶき

週刊いぶき

国債を大量発行しても国債財源の財政支出で経済が活性化し、税収増があるので心配なしとの主張が。学界では否定的な意見が多いのですが、理論的論争は学者先生に委ね、政治の立場からその合理性を検証します。第一に国債には必ず利払い償還が必要で、その財源は後世代納税者の税金です。現世代の国債発行の意思決定で、将来世代の納税の使途決定権を奪うのは世代間の公平からどうかなのかは、将来世代への各々の良心・価値観の問題です。

第二は経済が活性化し、名目成長率(物とサービス増と物価上昇)がプラスになるとして、①実質成長率(物とサービス増)が高く、物価上昇率が低い。②実質成長率は低く、物価上昇率が高い。③物価上昇率のみが高い。④実質成長率も物価上昇率も低迷。以上4つのケースが。①は理想型。②は税収が増えるがインフレ状態。③は戦後日本の状況で、税収は物価高騰で増えるだけの状態。④は日本経済の低迷期の状態。税収は物価上昇を含む名目値への課税なので、税収は①②③では増えますが、②③では国民生活が良くならないのは自明です。となると国債発行で経済が活性化するので心配なしのケースは①に限られます。

では税収増(物とサービス増と物価上昇の名目GDPに課税)は歳出にどう配分されるか。物価上昇の手当てをせねばならない公共サービスは、㋑年金・医療や介護費用等の上昇分、㋺生活保護費、㋩教師や自衛官等の公務員給与、㋥公共事業費単価上昇分、㋭住民サービスの為の地方交付税、㋬景気好転で上昇する国債の利払い・借り換えの金利の上昇分等々。新たな施策や既発国債の償還に充てられる税収増は実質成長分のみです。

しかし民主制の歴史を振返ると、好況期の税収増分を新たな施策や既発国債の減債に充てる政治決断は稀で、多くは減税や新たな住民サービスの財源になっています。この歴史の必然は、民主制の下で財政サービスを受けるのが投票権を持つ人間で、最終的意思決定を託されている与野党議員も選挙の洗礼を受ける人間だからです。大量国債を発行しても大丈夫という結論は、政治的には①実質成長率による増収が充分。②政治が有権者に目先のサービスより将来投資や財政規律の大切さを理解してもらう努力をする。③②を信念を持って実行する政治指導者の存在。④それを理解・支持する有権者の存在。針の穴を通すような①②③④の条件が必要なのです。更に難しいのは、その立派な決断が有権者に受入れられず、故安倍さんの言う「悪夢のような政権」が出現したら、その政治決断を後世がどう評価するかです。

来週は5連休なので休みとし、28日からご一緒に学ばせて頂きます。