新年おめでとうございます。今年もご一緒に学ばせて頂きますので、宜しくお願い致します。歳替り 変らぬものを 極めたし。
今年は戦後80年、終戦の年に生まれた方が80歳ですから、戦争の悲惨さを実体験している世界のリーダーはいません。トランプ、プーチン、習近平等々。戦後の飢え、劣悪な生活環境、街を闊歩する占領軍兵士、そんななか家族を養う為必死に働いた私達の祖父母や父母の世代も皆故人となりました。この世代の頑張りで日本の労働生産性が向上し、戦後復興・高度成長の道を歩むのです。現在では当り前で不満の的にもなる医療保険制度、教育無償化、上下水道等の社会インフラ、土曜休日・働き方改革等は皆その果実です。
日本が生きていく国際環境も変貌しつつあります。第二次世界大戦の損害の大きさへの反省から、人類は国連中心の世界秩序、経済面ではGATT(現在のWTO)とIMFを基軸とした自由貿易体制を創りあげました。第二次世界大戦で唯一戦場にならなかった米国は、圧倒的な経済力と軍事力でこの体制の盟主であり、ソ連を中心とする社会主義、統制と独裁の東側諸国との東西冷戦での自由と民主制の西側の盟主として、冷戦の勝者でもありました。
戦後80年、戦争や戦後の荒廃を知らず、現在の平和と日常を当り前と思う人口が大部分になると、国際秩序も日本社会の価値観も大きく変ってきます。国際社会や日本社会はどう変りつつあるのか、それにどう対処するのか、今回は国際社会の秩序、次回は日本社会の在り方について、①戦争体験の風化、②豊かさのなかでの帰属意識の喪失をキーワードに見てみましょう。
戦後の国際秩序は、各々の国益を認めつつも地球人としての帰属意識、協調と自由競争という矛盾した価値観に支えられていました。この矛盾を表面化させなかったのは、実質的に唯一の戦勝国・米国の経済力や軍事力でした。だが、その米国がベネズエラの独裁者を軍事力で拘束し、石油利権を公然と主張する現実は、米・中・ロの軍事力優先の第二次大戦前の体制に戻った印象です。
戦後の国際秩序の恩恵を最初に受けたのは日本と西独で、戦後復興と繁栄の歴史を刻むことになります。そして現在その恩恵を受けているのは中国でしょう。豊かさのなかでの米国民の油断なのか、官民一体で労働生産性を向上させた国々の勝利なのか。背に腹かえられぬ米国は、自由な競争による国際協調から自国第一主義に舵を切ります。他国の安全保障には距離を置き、自国産業強化に乗り出し、各国にもその風潮が蔓延しています。日本国民がこの変化にどう覚醒するか。後世の歴史家が評価する年になりそうです。