ベネズエラについでイランを米国が攻撃。ベネズエラと違いイランでは戦闘が長引き、地域も拡大しており、内外メディアでは、側近の助言を聞かなかったトランプ大統領の判断ミス等批判的論調が目立ちます。世界のエネルギーを支える原油・天然ガス産地での戦闘であり、特に輸送ルートのホルムズ海峡の安全航行が難しいので、原油・天然ガス供給の先行き不安から先物価格が急高騰、世界経済への不安が広がっています。
この不安に煽られてか、日本でも米国への弱腰批判、曖昧姿勢批判も聞かれます。ここは一呼吸置いて、国益を考える必要がありそうです。ベネズエラ国内では自由と民主制が機能せず、米国からすると自らの近くに中国等の影響が及んでいる危機感がありました。イランの場合もイスラム革命後の支配体制では自由と民主制が抑圧され、核開発による中東や世界秩序の不安定への懸念等が介入の理由でしょう。そうであったとしても、主権国家の体制や政策を武力をもって他国が転換を図るのは国際法上許されるのか。米国内の三権分立の連邦憲法の下で、議会承認の手続きは踏まれているのかの疑問が残ります。
国内の法秩序の問題は、主権者たる米国民の中間選挙での判断に委ねるべきでしょう。国際法上は違反と考えている国が多いのではと思います。G7の国々はイランの報復攻撃を非難する一方、米国・イスラエルに同調して軍事介入に協力する姿勢は見せていません。スターマー英首相は、「我々はイラクでの失敗の教訓がある」と違法性のにじむ発言をしています。高市さんが「法的評価は今はできない」と曖昧答弁をしたのは、国益を担う責任者としては当然の姿勢です。話が通じなくなっている、されど国益上大切な国・米国のトランプ大統領との会談を控え、慎重発言は当然です。日米首脳会談では非公開を前提に率直に話し合い、友好関係を保ってきたイランとの間で、安倍さんのように何等かの貢献ができれば高市さんの評価も上がるでしょう。
国内法には、それを遵守させる公権力の裏打ちがあります。捜査、自由剥奪、裁判、処罰等々。国際法は各国の約束・取決めで、その遵守は各国の良識・判断によらざるを得ないのです。第二次大戦後しばらくの間は、実質的に唯一の戦勝国・米国が、軍事・経済の圧倒的力をもって秩序維持、世界の警察官でしたが、その米国の地位が相対的に低下し、米国自身が秩序の混乱を引き起こしているのが現実です。第二次世界大戦前夜の力による解決の様相に戻らぬよう、日本も良識による世界調和を呼びかけうる影響力を回復したいものです。