論語を何気なく拾い読みしていたら、「遠き慮りなければ必ず近き憂いあり」の一節が。「遠慮がない」を礼儀を弁えないや謙虚さがないと理解していたのは誤りで、「遠慮のない」は遠く世界的視野で将来への配慮のないことが言源なのかと不明を恥じた次第です。孔子の言葉を念頭に国内外を見ると、成るほどと思うことの多い昨今です。
広く遠く世界のことを考えず、自国第一の政策を重ねていると、近くの国民の支持はトランプ大統領から離れているとの世論調査も一つの例でしょう。相互関税に加え、対イラン戦闘の結果でもあるホルムズ海峡封鎖は米国輸入商品や石油価格高騰をもたらし、物価高騰の直撃を受ける国民の支持は近々に迫る中間選挙でどう出るか。上下院でもし共和党が過半数を失えば、連邦憲法の下で大統領の憂いは深いものになります。
各社の世論調査では高市内閣の支持率はなお高いものの、少しずつ下降傾向です。第二次世界大戦を経験しない国民が大多数でも敗戦のトラウマが残り、占領下に制定された現憲法の下で、日本は軍事力を強化し対外交渉力とすることは現実的ではないでしょう。とすれば、対外交渉力として、かつてのような労働生産性の高い、強い経済力の再生・復活を目指すとの高市さんの高揚感あふれる主張は私も賛成です。問題は現在の円安と物価高の経済状況下でそれをどう実現するかです。私はサッチャー英首相のように、もう少し民間の力を信じ、その覚醒を呼びかけ、うながすことだと思います。国民に自分の価値観主張をほんの少し抑え、もう少し働くことが自分の価値観実現への近道なのを理解してもらう。経営者には利益半分・国益半分の気概を取り戻し、従業員給与や下請けの価格転嫁、国内設備投資に利益を回してもらう要請です。
今は戦時中の産業の国家統制・管理の時代ではないので、その為には政府の役割は①有効な補助金、②租税特別措置、③公的融資等で民間活力を引き出すべきなのでは。「政府が投資する」、「政府が主体となる」等の政策はできるだけ限定すべきだと思います。その為にも、経済団体や労働団体等の多くの人と対話し、協力を求める「国民会議」を設立しては。
①食料品の消費減税、②給付付き税額控除の給付先行、③防衛力強化等々の財源に加え、④強い経済再生・復活の財源を考えると、国債の増発は更なる円安を通じ更なる物価高騰をもたらします。遠い将来の納税者への慮りなく、近くの国民の支持を失うことがあっては、将来の日本の為に的を得たビジョンの実現がかえって難しくなることを恐れます。