コラム

週刊いぶき

4月7日

自民党の初当選議員と会食をした際、石破さんが商品券10万円を贈ったのが政治資金規正法違反だ、違反でなくても国民感情と乖離している等々、メディアやSNSを賑わしています。ラインでは多数の批判と一部の擁護が。私の初当選は中選挙区時代で、政治資金規正法改正前のバブル時代でした。当時の中曾根康弘総理にお祝いの会をしてもらった記憶はありませんが、多くの先輩からお招きを受けおみやげを頂いたのを覚えています。先輩に感謝こそすれ、他人に話すこと等ありえませんでした。また、お祝いの会もしない先輩は、気配りのない先生というのが当時の政界(与野党を通じ)の評価でした。
 その後、金権政治・派閥を生む中選挙区制度を変えるべしとの世論のなか、1人当選の小選挙区制、企業団体献金制限の現制度に移行して約30年です。初当選時のオオラカな雰囲気、別の見方ではルーズさは、少しずつ無くなりました。風(社会の風潮)が変ったのです。政治を担う上で大切なのは、地位に与えられる権力行使に謙虚、抑制的であることに加え、「風を読む力」と「風に流され大切なものを失なわぬ勇気」でしょうか。石破さんの今回の失敗は、①派閥パーティーとウラガネへの「逆風」を自民党総裁として読めなかったこと、②逆風のなかで初当選した議員心情、「風」を理解できなかったことです。
 一方で心配なのは、「風に流され大切なものを失なわない勇気」を失なうことです。派閥とカネへの批判に応えようとして、自民党は麻生派以外の派閥は解散しました。派閥への直接の批判は、派閥パーティーを利用した所謂ウラガネ問題です。だが本質的批判は、派閥により党の政策や人事(総裁選挙)が左右され、自派閥の影響力を強める為、派閥の拡大を図る結果として、派閥会員への選挙や日常活動の為の資金集めに無理が生ずることです。しかし他方派閥は、①政策の勉強、②経験の浅い議員への立居振舞い(有権者・先輩同僚・他党の議員に対する)、③初当選者のねぎらいの会等を通じの人間関係を教え、深める等の役割りを果してきました。
 派閥解散の現在、大講堂での講義でなく何故少人数のゼミがあるかを考えるまでもなく、①②③や300人を超える議員の公平な人事管理をどうするのか、自民党もその一翼を担う日本政治の将来の為いささか心配になります。少数与党であっても石破さんには、国会運営・各党接衝・党運営において、風を読み、風に流されぬ勇気を期待したいと思います。