コラム

週刊いぶき

4月14日

トランプ大統領の関税引上げ・一時停止との猫の目発言で、各国株式市場は乱高下。トランプ関税で悲鳴をあげるのは、輸入物価高の直撃を受ける米消費者と輸入材料を使う米製造業者です。日本の街の声には、「物価が上るのが心配」等の誤解も。物価高は米国でおこるので、所得制限なしに国民に5万円給付等の与野党の声は人気気取りの見当違いで、トランプ対策は輸出が減る業種特に中小企業に行うべきです。石破さんにはトランプ御希望の円高(ドル安)誘導を材料に、ディルする胆力を期待です(参考3月31日の投稿)。
 米国は1620年の英清教徒の移住に始まったとされているが、16世紀に既にスペイン、仏等の植民地であり、千万人超の原住民インディアンが住み、その後の移民、奴隷として売られた人、労働力として入国した人等からなる人工国家です。民族により生き方、考え方が異なるので、一つの民族の伝統的規範ではなく、法の支配、競争重視の国です。対英独立戦争を主導した東部13の英植民地を中心に、米合衆国は1787年に建国。法の支配即ち世界初の成文憲法に合意し、13の州は1つの国となります。この憲法作成過程を見ると、トランプ大統領的行政権行使手法への制御につき、現在の民主制の国では当然視されている三権分立の在り方が種々議論されています。
①13州の立場の公平性(人口比が対等か)が争われます。議会を二院制とし、上院は人口比でなく各州平等に議員は2名、下院は各州から人口比で選ぶ議員で構成となります。上院は政府人事、外交に権限を持ち、下院は税と予算の優先審議権を持つ現制度です。②行政権の責任者、元首となる大統領を議会が選ぶか、州が選ぶか、直接国民が選ぶか。州ごとの国民投票を代議員に託し、代議員の形式的投票で大統領を選ぶ現制度もこの時の合意です。③大統領や議会が憲法に違反する行為・決定をした場合、これを無効とする最高裁判事を任命するのは大統領か議会か。判事は任期制か終身制か。結局大統領任命制となるのですが、任命者への忖度を避ける終身制にしたのが、大統領、上下院、最高裁をトランプ一色に染め、歯止めが弱くなった遠因のように思います。
独裁国でなく民主制の国では、法律や議会から与えられた行政権を、その職にある者が抑制的・謙虚に行使しないと、民主制独裁に陥ります。その歯止めは主権者の良識(選挙)なので、今後の動向は、国民の声と2年後の中間選挙を控えた共和党議員の心理に懸かっているようです。