7月の参議院選挙を控え、延長の難しい国会の会期末まで約2ヵ月。そんななか、補正予算や法改正が必要な給付金(一人5万円?)や減税を求める発言が与野党の一部から相次いでいます。理由はトランプ関税による経済不安、物価高への対応とか。少数与党の苦しさ故か、石破さんもこの風を感じ、「ご意見を大切に」、「やるべきでない」が「検討は必要」とか気を持たせる答弁です。石破さんには風を読みつつ、風に流されぬ勇気を期待します。
トランプ猫の目関税で、日本には自動車・鉄鋼等の25%関税は残りますが、一律24%が当面10%となり株式市場が落着くと、「トランプ関税対応」が「物価高対策」の為に必要と変ってきます。この欄でも指摘してきたように、トランプ関税で最も困るのは、関税上乗せで消費者物価高に苦しむ米国消費者と輸入原材料を使う米国製造業者です。その結果としての米国経済の先行き不安から、①ニューヨーク株式市場、②米国債価格、③ドルレートはトリプル安。為替は1ドル160円だったのが今では140円のドル安(円高)です。
日本の輸入品価格は円建てで20円、約12%程度安くなります。逆に米国の日本からの輸入品は、10%の関税と12%のドル安で計22%の高騰です。エネルギーや食糧品等を円安を理由に値上げした企業は、円高ドル安が進み今後は逆に値下げ環境が出来たとも言えます。石破さんには①値下げを促し、②賃上げ継続を要請することが最大の物価対策だと理解してほしいものです。給付金等に使う財源があるなら、トランプ関税で輸出が難しくなる業種、特に下請けや関連中小企業の支援、生産性向上(競争力強化)に予算を集中する方が、将来の日本経済の体質強化にもつながるでしょう。
先人の言葉に「政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の時代を考える」とあります。選挙が近づくと何等かの名目で、次の世代の有権者の負担(赤字国債)で、現在の有権者の関心(票)を得ようとする動きが出てきます。しかし賢明な多くの国民は、減税で消費は増えるのか、給付金は消費より貯蓄に回るとの過去の実績がある等を御存知なので、一見有難くみえる話で投票するとみなされることに愉快な気持を持たれないのではと思います。
報道によれば、枝野幸男元立憲民主党代表が、給付金や減税を安易に唱える政界の風潮に警鐘を鳴らし、票目当てのポピュリズムを戒めた由。現役政治家の皆さんにも、風に流されぬ勇気を持つ人が健在なのを頼もしく思いました。