18日の自民党佐賀県連での江藤拓農水相の発言に批判が集まり、石破総理は江藤さんの辞表の受理、小泉進次郎さんが後任に。世論や野党の動向で留任・更迭と任命権者の石破さんはもたついた印象です。先週述べた沖縄での西田発言は、裏付け検証が不充分なまま、自分の価値観とは違う歴史認識を批判したものでした。江藤発言は、価値観の違いではなく、講演先で笑いをとろうとしたのか、米の小売価格高騰に苦しむ庶民の気持を責任者が逆なでした発言で、参議院選挙を控え自民党には痛手だと思います。
江藤発言は「米は買ったことがない。支持者が沢山くださる。我家には売るほどある」との趣旨だったとメディアは報道。スーパーや小売店では米の値段が去年の2倍以上にもなり、困っている庶民からすると、米の生産・流通を所管する農水大臣が別世界の、恵まれた人のように映ったでしょうか。先週述べた失言を避ける為の5つの「タ」に当てはめてみると、米値段高騰のまっただなかとの「タイミング」、農水大臣という「タチ場」、佐賀県連という「タビ先」。好漢自重し、今後の糧にと願っています。
教育基本法改正を担って私が文科大臣だった第一次安倍内閣の時、「女性は生む機械」という「タトエ話」で少子化問題を説明、発言を批判された大臣が。その後三人の農水大臣が相次いで辞任し、結果として参議院選挙に大敗。参議院での議案審議が思うにまかせず、最後に麻生内閣で総選挙に大敗。3年3ヶ月の民主党政権誕生の苦い思い出があります。過去の政権交替は、いずれも参議院選挙の敗北、政治の混乱によるものです。石破総裁・総理はこの教訓を大切に、党役員や閣僚に、地位にあるものの自覚を強く指示すべきでしょう。
昨年と一昨年・一昨昨年で米の収穫量や流通制度は大きく変わっていないのに、何故米の小売価格が2倍も高騰するのかを小泉新農水大臣には究明し、国民に分かり易く説明し、その原因を取り除くことを期待します。米不足の戦後復興期には、政府が食糧管理特別会計で一手に米を買上げ、安定価格で消費者に流通をさせていました。この逆ざやから生ずる膨大な赤字解消の為、補助金を出して米生産を調整・抑制し、そして現在です。昨年9月2日の当欄で述べた「EUでは農家に一定の所得補償をし、そのうえで作物を自由に作り、販売、輸出させている」ことの検討も小泉さんには期待します。