今週から参議院選挙、争点の一つの米価格高騰対策を考えてみます。昨年夏頃から店頭に米がなくなり、現在では銘柄米の値段は2倍に。茶碗一杯の御飯60円とトースト1枚がほぼ同じになりました。メディアは「令和の米騒動」と報道し、政治問題にも。所管の農水省は米価格抑制に目立った成果をあげられず、江藤農水大臣の発言も批判され、小泉さんと交替です。
小泉さんは災害等緊急時に備える政府備蓄米91万トンを逐次放出、価格抑制に取り組みます。この結果店頭には、1キロ①従来の流通ルートの銘柄米(4000円台)、②競争入札放出の古米のブレンド米(3000円台)、③随意契約の古古米(2000円台)、④同じく古古古米(2000円弱)が並びます。従来の慣習にとらわれず、小泉さんが米価抑制に「とりあえず」成功した手腕は評価すべきでしょう。ただ備蓄米をほぼ使い切ったので、災害時の対応、来年も米価高騰が生じたらどうするか、耕地整備転換に数年単位の取組みが必要な今後の米作の扱い等々課題は多く残っています。
火事を消す為に、小泉消防士は消火器(備蓄米)を使い切ったので、現在消火器はありません。火事再燃に備えるには、出火原因をつきとめ、的を射た構造対策が必要です。5月26日の当欄で指摘したように、米の収穫量は令和3年700万トン、4年620万トン、5年660万トン、6年680万トンと統計上ほとんど変らず、流通機構にも大きな変化がないのに、何故令和6年から米不足、価格高騰が生じたのかをつきとめず、間違った政策を採ると、日本の米作や食糧自給の将来が心配です。①評論家や政府の一部は需給バランスが崩れているので米増産に転換と主張、②逆に農水族や従来の農水省は流通が目詰りしていると主張。どちらが正しいのかはまだ不明です。
備蓄米以外に、ウルグアイラウンドで政府はミニマムアクセスとして毎年77万トンの外米(材料米や飼料用が主)を買い入れます。それ以外の輸入米は1キロ341円の関税が課されます。カリフォルニア産米はキロ150円程度で、5キロ関税込み2450円、諸経費を見込むと約3000円です。日本の米生産量は70%が大規模農家、30%が1ヘクタール未満の農家です。輸入米と太刀打ちするには経営規模拡大は必要ですが、中山間地や住宅地近郊の農家等地形的に難しい条件も。緑地確保や地方創生の視点からも小規模農家をどう護るかも含め、国民の納得を得られる原因究明と対策を期待します。