週刊いぶき

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10月14日

自民党新総裁が決っても、臨時国会の首班指名までに、公明党とお互いが連立を始めた時の初心に戻り連立継続に合意でなかったこと、野党との話合い等道は険しいようです。政権継続のみの協力合意は後々禍根が生じるので、信頼できる(国会で賛成した予算や法律に共同責任を持つ)政党と、人間的信頼関係を醸成し、時を待ち連立を論ずるのが憲政の常道でしょう。また、その過程が国民の共感を得ることが大切だと思います。

首班指名は自公連立が解消しても、過半数の議席を持つ野党が基本理念を捨て一本化できるのか、仮に出来ても政権運営は可能なのかを考えると、自民高市と立憲野田の決選投票で高市総理の可能性が高いのがコメンテーターの大勢です。与野党どちらが政権を担っても石破内閣より苦しい条件です。憲法に則り内閣を預る限りは予算や法律の国会合意を取り付け、日本の安全と国民の日常を護る責任があります。高市さんには、「だれも1人では生きていけない」との言葉を大切に、党内は勿論野党との人間関係に心を配り、信頼と協力を取り付け一歩ずつ前進してほしいと思います。政権担当能力とは現実の制約の下で、我慢しながら少しづつ目標に近づく忍耐の作業です。

そこで総裁選での各候補の主張を前提に、行政権の責任者になった場合の高市さんに、①当面処理すべき課題、②①を処理するために考えるべき中期的対応、③①②を行う上で大切な日本の将来像、国家ビジョンの三つについて考えてほしいことを、3回に分け皆さんと考えてみたいと思います。まず今回は①です。物価高で日常生活が大変との世相に応えるべく、総裁選では各候補とも物価対策を掲げていました。㋑所得税やガソリン税の減税。野党は消費減税にも言及。㋺石破内閣の給付金の見直し実施。㋺物価を上回る賃上げの実現等々。これ等は物価高騰への応急措置の痛み止め、解熱剤です。

物価高という病気も根本治療の効果が現れるまでの応急措置は必要ですが、対処療法だけを続けても病気は治らず、対処療法には副作用もあります。㋑減税にはその税収をもって実施してきた行政サービスの扱いをどうするか。特に恒久減税は「税収の上ぶれ」等の言葉だけでなく、具体的安定代替財源が必要です。㋺を自然増収の範囲内で行う場合には、対象は困窮者に絞るべきで、所得制限は不可欠です。㋩は最も筋の良い物価対策ですが、自由な市場経済の日本では、賃上げや下請けへの価格転嫁を決めるのは政治ではなく経営者です。その社会的雰囲気をどう創るか、苦しい出発の高市さんの手腕が試されます。