週刊いぶき

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10月20日

今回は物価高対策について、可能性の高まった高市内閣が中期的に何をすべきかを考えてみます。実はその延長線上に、日本をかつてのように、米国を含む各国から一目置かれる強い経済を持つ国に再生する道が見えてくると思います。物価上昇は①景気が順調で、消費や投資が伸びる即ち有効需要が過熱することが原因の良い物価上昇②原材料価格の高騰によるコストプッシュ型の悪い物価上昇があります。

問題は現在の物価上昇が①か②のどちらなのかです。①海外進出の大企業を中心に企業業績は順調で、赤字決算はほとんどなく増収増益等の言葉が躍りますが、賃上げや下請けへの配慮等の経営判断はまだまだ慎重のようです。②一方で人手不足(定職がなくても生活できる経済状況になっている、嫌な仕事を敬遠する、そして少子化の流れ)からの人件費高騰、何よりも6年前に1ドル110円だった円ドルレートが現在150円という円安の結果による円表示輸入価格高騰に最大の原因があります。新しい内閣の中期的課題は、為替レートは市場で決るだけに、円の物を買う値打ち(円の購買力)を実態を反映したレートに修正していく政策姿勢で求められます。

市場が新内閣を見つめる目は、自民党総裁選前1ドル145円だったのが152円の円安(輸入価格の円表示上昇)に動いたように、その経済政策が円安に向うとみているのです。円ドルレートは何で決るかは株価と似ています。①会社の将来性(日本経済の成長力)②当面の業績(貿易収支→営業利益・経常収支→最終損益)③配当(公定歩合、彼我の金利差)④借金の多募(国債発行残高)、⑤円とドルの購買力の比較でしょう。日本の①は今後の政策と国民の覚醒に懸かっています。②は充分の黒字。⑤は例えば日本で1000円の朝食が米国では3000円、5000円という現実から分るように、現在の円ドルレートは実勢とかけ離れた円安(輸入物価高)です。

中期的には1ドル110円でも充分輸出競争力がある日本経済を創ることこそ新内閣の目指すべき長期的方向です。その為には日本銀行の独立性を尊重し、③の日米金利差を景気状況をにらみつつ縮小していく、④民需を中心とした堅肥りの日本経済を創りあげ、いざという時の財政出動の為にも国債発行残高を漸減することが、円安から脱却し物価高抑制に向かわせます。「財政規律が不要等と言ったことはない」との高市発言を信頼し、労働生産性が高く、世界から一目おかれる日本経済をどう再生するか来週ご一緒に学びましょう。