週刊いぶき

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12月1日

先週の続きです。外交交渉力となる「強い経済」とは。生活実感としては、㋑明日の暮しが期待できる、㋺社会に活力や明るさがあり、国民に働く意欲が溢れている日本。経済学で言えば、㋑実質経済成長率が高く、㋺労働生産性(賃金あたりの生産付加価値)が他国より高く、㋩1ドル100円でも輸出競争力があり、貿易収支が黒字の日本でしょうか。

生活環境や国民の価値観が変化しているので、過去の回顧は慎重であるべきですが、高度成長期の日本は㋑㋺の条件を充てていました。現在は社会保障等の公的インフラが向上し、国際化が進み異なる価値観に触れ、それを自由に主張できるので、高度成長期のような㋑㋺の再生は主役が人間であるが故に難しい作業です。だが日本の今と未来の為に拓くべき道でもあります。

労働生産性の回復は、日本ならではの技術の開発とその①産業化の設備投資と②勤勉な労働力の組み合せで生まれます。高度成長期のトランジスターや家電、現在の半導体や自動車です。高度成長期に比べ現在の日本は有効な国内設備投資残高が減少し、労働の質的劣化が著しいと経済分析は指摘します。高市さんが「責任ある積極財政」で目指すのは、17の産業分野への公的助成(補助金、税制、直接投資等)で新しい設備投資対象に勢いをつけ、経済を成長させ税収増を期待し、国民生活に還元する一方で、公約助成の財源(国債)の返済「責任」を果す構想です。アベノミクスでは期待した三本目の矢・民間設備投資が活発化せず、好循環が生じなかった反省を教訓にしたとも言えます。

だが、その成功の為には現実には幾つもの関所があります。①自由市場経済の日本では、設備投資や賃上げ・下請けへの配慮の意思決定権を持つ経営者が思惑通り行動するか。②実質賃金増、育児や介護等の充実等が期待できないと、労働の質的向上を期待される国民が思惑通り働いてくれるか。高市構想が成功すれば、①名目・実質成長率は上昇、②公的借金残高のGDP比は現在の200%より低下、③私達が現在享受する公共サービスの財源を次世代に負担させる国債ではなく私達の税金で賄い、④円レートは100円程度に改善し、原油や食料品の輸入価格は30%低下、消費者物価も下るでしょう。だがこの関所を乗り越えられない時は、①②③④は怖ろしい逆方向に暗転します。

将来に大きな影響を持つ「責任ある」積極財政成功の為には、高市さんには現実の制約を忘れずに、異なる意見にも充分耳を傾け、その時々の状況の点検と柔軟な対応を忘れず、臨機応変に政策を進めるよう期待します。