政権発足後、外交案件や国会対応の続いた高市内閣は、先月21日に総合経済対策を閣議決定。その具体化の補正予算案の国会審議が始まります。補正予算案には、2週に亙り学んだ高市さんの「責任ある積極財政」の一部が顔を見せています。高市さんが越えねばならぬ関所は、①財政の誘導に経営者が応え、国内設備投資を行うか。②国民が勤勉な労働力で応えてくれるか。③①②が実現し、労働生産性向上と名目・実質経済の成長の結果、税収増が確保されるか。④その税収増で積極財政の為の国債増発の償還「責任」を課せるか等々です。
補正予算案の内容です。約18兆円の歳出とそれを賄う歳入(財源)が国民生活にどう影響するか。国民の当面の痛み止めである物価対策は9兆円ですが、高市さんが目指す日本経済の健康体回復の経済成長投資は6兆円、防衛力強化は2兆円です。高市カラーによる財政支出が、「責任ある」積極財政とのバランスで、どう姿を現すかは来年度予算案に持ち越された印象です。
①物価高対策は、地方自治体の判断で食料品の価格高騰対策や中小企業支援に使える交付金や地方交付税が3兆円、医療や介護を国民に提供する医療・介護施設の賃上げ支援等1兆4千億円、中小企業支援は8千億円等の9兆円です。②日本経済の再生、供給力強化の為、半導体、創薬、造船等の所謂17分野の産業の梃子入れ支出は一般会計と特別会計合わせて約7兆円です。
世界の市場が注目しているのは、「経済再生」の支出をどのような財源で賄うかです。今回の補正予算では、①1月から3月までのガソリン税減税の税収減を差し引いた後の税収の上振れ3兆円。②昨年度予算の使い残し3兆円。③税以外の収入増1兆円、④令和7年度で不用になる1兆円を前提に、不足分を昨年度の補正予算に比べ6兆円増の12兆円弱を国債で賄いました。これに対し市場は、来年度予算でも国債増発を予測してか、国債価格下落(長期金利上昇)と円ドルレートの155円の低落で反応しています。
補正予算の半分を費いやした物価対策に対し、円安は逆に輸入品(原油や農産食料品)の値段を押し上げます。高市さんの日本経済再生案が成功すれば、日本経済の競争力は向上、円レートもかつての1ドル100円が現実になりますが、その実現には2~3年はかかるでしょう。その間の円安・物価上昇を抑えるには、①財政や税優遇の無駄を省き財源を創り、国債発行額を極力抑える。②金融政策は日銀判断を尊重し、公定歩合の機動的調整を委ねる等の「責任」ある積極財政を望みたいと思います。
週刊いぶき