コラム

週刊いぶき

1月14日

明けましておめでとうございます。今年もご一緒に学ばせて頂きます。

今年の初夢は、日本抜きに世界の事ごとが決められない国に復活するスタートの年になること。唯一の被爆国、非人道的じゅうたん爆撃、沖縄での悲惨な地上戦、肉親を戦争で失なった悲しみ等々。先輩の世代は敗戦のトラウマを抱えながら、戦後復興を成し遂げ、戦争に敗けても経済では敗けないと高度経済成長を成し遂げました。世界第二の経済大国となり、国の実力を表す為替レートは、終戦時の1ドル360円が一時は70円と5倍以上に上昇(現在は150円と評価は半減)。その原動力になったのは日本人の伝統的な生き方(文化)でした。自助と勤勉、公共の精神、帰属意識等々。

豊かな先進国共通の悩みに現在の日本も陥いっているようです。個々人が自からの価値観を貫ぬいても生活できる環境に恵まれたので、社会の分断が進み、多様な価値観の主張に、経済と政治が追いつけないのです。帰属意識こそが生活の支えであった時代は去り、義務なき権利の主張、自由と我がままの混同が国力を削いでいます。国際化とネット社会の現実は、異なる文化、価値観に容易かつ迅速に触れることを可能にします。異なる文化に触れることは、人間として成長する糧を与えてくれる素晴らしいことではあります。しかし注意しておかねばならないのは、異なる文化の必要なものを受入れる一方、祖先が明治維新、戦後復興をなしとげた原動力であった日本人の生き方(文化)の大切なものを変質させないことです。良きものを受入れ、変えてはならぬものを護り、日本的伝統規範である和魂洋才を忘れぬことです。

初夢実現の為、統制や計画経済でなく、独裁国家でもない日本では、政策実現の為に政治家、経営者、何より主権者であり働き手である国民に各々何を期待すべきか、「再生」、「回復」、「取り戻す」をキーワードに来週述べたいと思います。今週は先人の努力のうえに今日があることを述べている、パリ・オリンピック女子卓球団体銀、個人銅の早田ひなさん(令和生れ)の言葉で締めます。鹿児島県知覧の特攻平和記念館に行きたいとし、「生きていること、自分が卓球をやっていることは、当り前じゃないことを感じたい」と。豊かで行き届いた現在に生まれても、それを作り上げ、受け渡してくれた祖先の生き方(文化)を忘れねば、日本復活の初夢もスタートできるのではと思いました。