コラム

週刊いぶき

2月10日

先週の続きです。宮沢内閣不信任の可決は、①政治改革の成案が得られぬことへの世論・党内の反発。②政治改革を建前とした竹下派内の主導権争いが原因でした。不信任に賛成・離党した現職議員は小沢一郎さん以下石破総理を含め3名、不信任反対後に離党は渡海紀三朗、岡田克也のお二人。不信任反対後も自民党は麻生太郎さん以下9名。不信任後の総選挙で当選の現職は岸田前総理、野田立憲代表等でした。政治改革の交渉に携わった人は、小沢一郎さんを除くと限られています。となると細川・河野の総理・総裁の発信も、当時の資料を検証し議論しないと、判断を誤る怖れがあります。

宮沢解散の結果、自民党は圧倒的な比較第一党でしたが、「政治改革」を鎹に八党派の細川連立内閣が成立。細川内閣の政治改革関連法案は参議院で、自民党の対案は衆議院で各々否決され、衆参両院議長の幹施となります。争点は小選挙区と比例代表の議席数で、参議院での政府案否決は、小選挙区での当選が不利な社会党等の反対の結果でした。

与野党間の最終的な話し合いの為、総理・小沢新生党代表幹事、総裁・森幹事長の会合がセットされましたが、何故か細川・河野のお二人が土井たか子衆議院議長に報告・挨拶に行かれた為、小沢・森間の実質的詰めを4者会談で確認、総理・総裁がニコヤカにサインをされたのです。合意は9項目で、①小選挙区300、比例代表200。②比例代表は11ブロックの名簿による。③企業団体献金は、「議員及び首長を含め政治家の資金管理団体に対し、5年に限り年間50万円を限度に認める」とのみ記されています。

これを受け国会が議決した平成6年1月成立の政治資金規正法付則に、法施行後5年の時点で、「政治資金への個人の拠出、政党財政の状況等を考え、会社や労組組合等の政党・政治団体への寄付のあり方を見直す」とあります。5年後見直しの平成11年国会では、政治家個人への企業団体献金禁止は総・総合意どおり議決されましたが、政党への寄付は存続しました。立憲民主党の前身・民主党提出法案も、政党への企業団体献金を前提に、政党支部の数の制限が提案されています。禁止の提案は共産党のみでした。

細川与党内で企業団体献金で意見が割れたと当時は言われていました。お二人の認識が与野党間で当時共有されていたなら、「見直し」でなく「禁止」と明記されたはずです。細川内閣案の否決、平成6年に国会が議決した「5年後見直し」、平成11年の国会での処理も全て国会の意思です。国会の権威の為にも国会議員は国会の「議決法案」を前提に協議してほしいと思います。