衆議院予算委員会の質疑も進み、令和7年度予算案への衆議院の態度(議決)を決めないと年度内(3月末)成立は困難に。年度内の予算不成立のケースは過去にもあり、義務的経費だけのつなぎ予算を先議し急場しのぎをしました。予算の年度内成立の遅れは、地方自治体や医療・教育等への予算支出が遅れ、国民生活への影響が出ます。
与党が国会、特に衆議院の多数を占めていると、予算成立の遅れの責任は与党が負います。少数与党の石破内閣では、遅れの責任は与野党が共に担わねばなりません。少数与党内閣で、国会はむしろ本来の機能を回復したとも言えます。自民党多数、特に小選挙区制での公認権、政党助成費配分権を握る執行部(総裁即ち内閣総理大臣)に反対しづらい雰囲気の下では、内閣の予算案に与党内でも反対意見は少なく、国会の議論は批判だけの通過儀礼になっていました。少数与党下での予算成立には与野党間の実質的話合い、予算修正が必要となります。本来国会は納税者の代表として、歳出内容の監視・削減、税負担軽減の為に生れたのは、議会制民主制の母なる国・英国の大憲章(マグナ・カルタ)の教えるところです。
国会を通じ野党も予算成立に関与することは、野党も与党と共に国民に責任を負うことを意味します。各野党は総選挙の比例代表の自党の得票率を振り返り、謙虚に責任を果す態度が大切です。諸外国では野党の予算修正は、他の予算削減による組替えが大部分で、集票目的の減税や給付だけの主張では、将来の政権交替、政権担当能力が評価されず、支持率はむしろ落ちるとか。
立憲民主党の野田代表の発言に何か救われた思いがしました。野田さんは、「(103万円の壁)のような減税提案は当面の集票には効果的でも、(赤字国債が財源になると)将来世代の収奪になる」と警鐘を鳴しています。令和7年度予算案116兆円のうち、既発国債の利払い等の国債費は28兆円。過去の世代が公共サービスの代金の税負担を避け(不人気を恐れ)た結果、当時投票権のなかった世代も含め、現世代は自分達の税負担のうち28兆円分の使途を自分達で決められないのです。財源なしの減税や給付増の野党提案は無責任ですが、一方石破内閣も政権維持の為に後世の指弾を受ける修正は安易に受入れず、与野党共同責任で国会運営・予算管理に当ってほしいと思います。