石破トランプの日米首脳会談では、トランプ流の主張・要求等はなく、多くの受け止めは、新体制の日米関係は「無難なスタート」との評価です。だが今回の会談は30分強、陪席者もあり、ほとんどがメディア公開で、お互いの国内向けアピールの狙いも。それだけに、事前の事務摺合せ内容が気になります。安全保障や経済面で、鉄鋼や自動車等への追加関税のように今後何をしてくるのか、とりあえずの安心は禁物で、日本側の対応準備は不可欠です。
安全保障面では、①日本は重要な同盟国、②同盟国の安全は米国の抑止力行使で護る、③尖閣諸島は米国の防衛義務を定めた安保条約5条の対象を確認し、防衛費負担増の要求はなかったとか。日米同盟がインド太平洋の米権益にとっても不可欠と米側も理解しているのなら、防衛協力等の更なる要求に対し、日本の立場の主張は大切です。中口主導のブリックス参加へのアジア地域の国々の引止めへの日本の存在価値を自信を持って主張すべきでしょう。
経済面では、対日貿易赤字(848億ドル)解消の要求がありました。昨年の米国の貿易収支赤字は12,000億ドル強(185兆円)で、対日赤字は7番目とか。赤字削減の為、アラスカ等の天然ガス(LPG)輸入増で合意したようです。同盟国からの安定供給の保障、輸送ルートの安全等のメリットもあり、価格次第では日本の国益にもかないます。ただ世界有数の産油国の米国は、これまで国内資源温存の戦略をとってきたので、資源小国日本はトランプ後も見据え、長期的安定供給のシナリオは大切にしなければなりません。
戦後復興・高度成長期を通じ日本の競争力・生産性が向上すると、日米間の貿易摩擦と基軸通貨米ドルの為替レートの扱いは、日米間の紛争の対象でした。安全保障面の対米依存もあって、日本は①繊維や自動車の輸出自主規制、② 牛肉等の米国農産物の輸入拡大、③固定相場時代の対ドルレート切上げや変動相場(現在の市場主導)への移行等の譲歩を重ねてきました。日本の経済力が相対的に優位・余裕があったからこそ、それが可能だったとも言えます。
貿易赤字解消は輸入抑制か輸出増が必要。関税は輸入価格の上昇、割高な米国内製品の購入となり米国民に利益がないうえ、輸出増には効果のない対処療法です。本来は現在1ドル150円の米ドルレートを米国の利下げ・日本の利上げでドル安に誘すれば、輸出増・輸入減が可能となります。日本の輸入物価は下る一方で、円高でも競争力ある日本経済の再生は、私達の意識改革にあるとの1月14日、20日の初夢投稿をもう一度お読み下さい。