米上下院でのトランプ大統領演説、仏マクロン大統領の国民への演説を聴いて、第二次世界大戦前にタイムスリップしました。当時は軍事力が最大の外交交渉力で、大国は軍事力を背景に、相手国に権益(交易)を求め植民地化を進め、それが当時の世界秩序(大国中心の)でした。日本は明治維新で荒波を乗り切り大国の仲間入りすると、残された権益(中国)を巡り先行国と争い、大東亜戦争に突入。当時の文書を読むと、米国によるフィリピンの植民地化を認めるかわりに、日本の中国進出に米国が干渉しないとの合意があったとか。
今ではフィリピンは独立し、中国は中華民国を経て、中華人民共和国として米国と覇権を争う大国です。しかし大国故に軍事力の肥大化と他国の主権への干渉も増えています。侵略を受けているウクライナの将来が、ウクライナ国民の意思とは別に、軍事力を背景にした大国間の協議に委ねられるのは、フィリピンと中国を巡るかつての日米密約を思わせます。戦争被害の大きさへの反省から、終戦後に新しい世界秩序とそれを担保する安全保障・経済等の条約・協定、それを動かす国連、WTO等の国際機関が設立された現状が、かつての軍事力を背景にした新(旧?)秩序に戻るかのようです。
マクロン仏大統領は演説で、ロシアの武力侵攻が欧州に及ぶ危険に対処する為、仏の核の傘の下での欧州の団結と軍事力増強の必要性を訴えました。米国が第二次世界大戦後に果してきた、新秩序維持の為の自由・民主主義国の盟主(世界の警察官)の役割から身を退くとなれば、当然の主張でしょう。だがそのことは、米・ロ・欧州・中国の軍事力中心の秩序に戻る不安定な世界にもなりかねません。日本はさてどうするのかです。
「理想がないと存在する値打ちはないが、現実を忘れては存在できない」。太平洋の東西に位置する日米両国は、安全保障・経済両面で互恵の同盟国だと米国に分からせることが第一です。日本周辺には、中国・ロシア・北朝鮮という核を保有し、国家運営の価値が違う国があります。日本は大東亜戦争の反省、憲法の条文から軍事力を外交交渉手段とせず、安全保障面を専ら米国の核の傘と日米安保条約に頼っているのが現実です。その米国とある程度の交渉がかつて出来たのは、日本の経済力に余裕があり、外交交渉力を経済力に頼ってきたからです。その経済にかげりが見える現在、これをどう建て直すかにこそ日本の将来が懸かっています。1月14日、20日の初夢投稿を是非もう一度。