2月20日に米国連邦最高裁は、トランプ政権の関税賦課を違憲としました。議会の承認なしに、トランプ大統領が国際緊急経済法により関税を賦課するのは、連邦憲法の「課税権限は議会にある」との規定に違反としたものです。トランプ政権は直ちに、1974年通商法122条により全ての輸入品に10%の関税を課し、同法上限の15%に引き上げる可能性を示唆しています。
メディアは、①日本経済への影響。②既納付の関税(在米日本企業を含む米国輸入業者が納付)の還付の有無。③対米関税交渉で、関税率を15%にする代償だった約85兆円の対米投資の扱い等について、「専門家のご意見」を報じています。新たな課税根拠の1974年通商法は、㋑不公平な貿易条件で米国の輸出が損なわれる場合、㋺150日に限り課税が可としており、その間に新たな訴訟や米政府の対応が考えられます。関税は米国輸入業者が納付し、価格に上乗せして米国民が負担する税で、中間選挙を控え米国世論・政治がどう動くか。日本の国益を担う日本の政治には、対米交渉や対米投資に一呼吸置き、理屈の通らぬ、されど大切な国・米国を刺激せぬ姿勢を期待します。
今回の最大の注目点は、各種選挙に圧勝し帝王気分のトランプ大統領に、米国には大統領権限を制限する三権分立の伝統・良識が残っていることを示したこと。トランプ旋風で大統領(行政)選、上下院(立法)選を制し、最高裁(司法)の判事も第一次トランプ政権時に任命された人も含め共和党色が強く、三権を共和党が押さえる所謂トリプルレッドの為、トランプ大統領の帝王的振舞いに歯止めなしが「識者」のお見立てでした。それを覆したのが、中間選挙を控える及び腰の共和党議員の造反でなく、最高裁の良識でした。
判決はトランプ大統領には意外でも、判決内容は米国建国の歴史からは当然の保守的なものです。英仏スペインの植民地であった米大陸で、1776年に英本国からの独立宣言した13の英国植民地のきっかけは、1773年の高関税茶葉の輸入に反対するボストン茶葉事件でした。独立した13植民地は、星条旗の13本の紅白の縞模様となっています。
13の植民地は対外的立場を強化すべく、連邦(合衆国)型成の交渉を経て、1788年に連邦憲法に合意。①13州は対等で、上院は人口に関わらず各州2名の議員。連邦政府人事と外交を先議。②下院は人口比議員で構成。税制と予算を審議。③大統領は行政執行権を持ち、国民投票で選出。④最高裁判事は大統領が指名、議会が承諾。憲法審査権を持つ。連邦憲法は三権分立を明文化した最初の憲法と言われ、与党多数の日本も学ぶところがありそうです。
4日のBSフジ「プライムニュース」に出演します。