週刊いぶき

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2026/3/30

先週に続いて物価高騰の原因の円安について。円ドルの交換レートは各々の購買力(物を買う力)だけでは決まりません。雑誌エコノミストの調査で、マクドナルドのセットが各国でいくらかの比較があります。日本で1000円、米国で20ドル(3000円)とか。現在の1ドル160円は購買力でみると、円の交換比率は3分の1も低いのです。つまり日本の技術、日本人の労働力が3分の1も低く買われ、外国のそれを3倍も高く買わされているのです。

為替市場で決まる円ドルレートと購買力を対比したIMFの調査では、1984年から2016年の間は、円ドルレートは購買力より円高で、それ以降は円安に転じています。円高のメリットは原油や天然ガス・食糧等の輸入品を円表示で安く輸入でき、物価安になること。デメリットは1ドルで160円分でなく110円の日本製品しか買えないので、輸出が難しくなること。海外進出企業の利益を国内の連結決算に計上する時、100万ドルが1億6000万円でなく1億1000万円の表示になるので、円の表示で減益になることです。仮に110円になれば、日本のGDPのドル表示は40%増え、ドイツを抜いて世界3位です。

為替市場の相場は、実は購買力以外に多くの条件、思惑で決まります。①その国の経済の現状、先行き。石油危機等への耐久力等。②貿易収支・経常収支が黒字か赤字か。③国の債務(借金)・国債発行残高の多寡。④通貨を持つことで得られる利益、公定歩合の水準。⑤通貨の流通量の多寡等々。円の現状は②と購買力はドルより優位。①は高市内閣が強い日本経済を目指し努力中。③国債等の国家債務は多く、⑤は金融緩和から転換途上。④も現時点では公定歩合は低率。となると円高による物価高抑制を目指すには、㋑金利引上げ・金融引締め基調の経済運営、㋺強い日本経済を創る財源の為に対処療法的政策をやめ、民間投資促進策に集中することです。

強い経済・通貨は、その国の労働生産性が比較優位にあることが必須条件。日本の高度・安定成長期は1ドル70から110円台で、このことが当時の日本の強い対外交渉力の基盤でした。昨年8月13日の日経新聞の経済教室で、深尾京司さんが「高度・安定成長期には相対的に高い労働生産性が経済を牽引していたが、近年は有効な設備物投資残高減少と労働の質的劣化が著しい」と述べておられます。円高・物価抑制は、①実質成長率引き上げの国内設備投資。②国民の労働意欲の覚醒にあります。自由な市場経済の日本では、民間設備投資の決定と労働を担う「民」の覚醒を高市さんがどう引き出せるか。