米国・イスラエルとイランの戦闘の決着が見通せず、中東原油の輸送路のホルムズ海峡封鎖状態が続いています。原油の価格高騰が続き、先物はバーレル100ドルを突破、日本を含む世界経済は先行き不安状態です。原油価格上昇による世界経済落込みのIMF予測は既に本欄で述べましたが、それを反映してか株式市場は全面安。原油を含め資源、原材料を輸入に依存する日本は、円安もあってその影響は大です。一方で過去の「石油ショック」の苦い経験から、諸外国に比べ日本の対応策は進んでおり、冷静に対応したいものです。
昭和48年(1973)の田中角栄内閣当時に第四次中東戦争があり、産油国は生産削減と価格引上げに踏切り、現在と同様の供給逼迫と価格高騰が生じました。丁度「列島改造論」による土地価格高騰による経済バブルの入口にあったこととも重なり、「狂乱物価」と言われた状況でした。人心も不安定で、「トイレットペーパーがなくなる」等の流言飛語も。物価高騰も現在と違い2ケタを超す不安な世相でした。夜間照明・ネオンの自粛、自動車利用より公共交通機関利用、節電等々の省エネの呼びかけを今でも懐かしく思い出します。
この苦い経験から現在の日本では、原油供給危機への対応が当時と比べ随分と進んでいます。①原油備蓄は官民合わせ 270日分以上あり、中東原油に依存しているアジア諸国のなかでは中国の200日を超え飛び抜けて高い数字です。②発電エネルギー源の原油依存度も、石油ショック時に比べ大きく変化しています。現在では㋑天然ガス、㋺石炭、㋩原子力に次いで重油は4番目です。天然ガスはオーストラリア、マレーシア等からの調達が大半で中東依存は低いのですが、天然ガス価格は原油価格に連動して動くので、戦闘の終結と原油価格鎮静化が待たれるのは当然です。
原油供給不安の影響を最も受けるのは、①物流・輸送用デイゼルの軽油、②石油由来の二次製品材料(ナフサ等、ポリ製品)、③マイカーのスタンド給油でしょう。①②は物価高騰の原因となり、③は財布に直結し、投票心理に影響が大きいと言われます。日本でも財政援助でガソリン価格抑制を行っていますが、ガソリン使用を促進する価格抑制は疑問です。本当に困る人、地方税非課税世帯に緊急給付金の支給ならともかく、ガソリン節約・我慢に反する価格抑制策は正しいのか。豊かななかに慎ましく、我慢の気持ちをを忘れて国に援助をねだる国民の国は、衰亡の途を歩むのはローマ帝国から現在まで歴史の教訓です。