令和8年度予算案が異例のスピードで衆議院を通過。この審議の在り方への私見は来週の述べますが、とりあえず高市内閣の1年間の内政外交政策を金銭で表示した予算案、政府が私達の日常にどうかかわかるかの一覧表について考えます。財源は私達が納める税金84兆円、税以外の政府収入9兆円、不足分を次世代の利払い・償還に頼る国債発行30兆円の計122兆円です。使途は医療年金等の社会保障費39兆円、教育費等6兆円、防衛費9兆円、道路や上下水道等の公共事業費6兆円、地方自治体を通じ地域住民の日常を支える地方交付金21兆円、過去の国債の償還・利払費が31兆円等。
王様が一方的に徴収する税に耐えかねた領民が決起し、「納税者の同意なくして課税なし」を約束させ、課税の詳細を協議した場が議会の始まりと教科書は教えています。封建時代には、独裁者の判断で納税額は戦費や私的贅沢に使われたので、納税者の不満は当然でしょう。現在の民主制の国では、納税者であり受益者である国民が選んだ国会議員による審議で、税の在り方や使途は決まります。納税者は即ち受益者でもあります。
納税者・受益者が唯一人なら、多くを望めば多く納め、減税を望めば受益が減ることはすぐわかります。現実は納税者は多数多様で、受益者も同様です。だれも負担は少なく、受益の多くを望みます。民主制での集票の為に政治がその声に迎合すると、納税と支出の差は国債発行として累積。不況で税収が落ち込むときに国債発行で景気を回復させ、国民生活を支える。景気回復で税収が増えたら公共サービス増に使わず、国債を償還し次世代の納税使用権を回復する。この政治と国民の良識を前提としたのがケインズ経済学です。
8年度の国債発行額は1兆円増の30兆円で、国債発行額の残高は1150兆円、その償還利払い費は31兆円。令和8年度の国民は、予算の26%、31兆円を前世代が受益した借金の為、自分たちの判断で使えなくなっており、私達も同様の仕打ちを30兆円の国債発行で次世代に残しています。国家は過去・現在・将来世代の共同体とした保守の先達エドマンド・バークは、この現実をどう見るのでしょう。
民主制の避けえぬ欠点である国債増加に、冷徹な金融市場が厳しく反応します。国債増加・国債価格低落・利回り上昇・長期金利上昇で設備投資の条件が悪い国の通貨価値は下落(円安)。現在の物価高はエネルギーや食料品等の円表示輸入価格上昇(1ドル分の輸入が110円から160円)によるものです。「責任ある積極財政」は目先の減税・給付より、労働生産性再生の為の積極的支出であることを国民に理解してもらう、参議院審議を期待します。